ヘリポートの「R」と「L」の違い|ホバリング専用と着陸可能スポットの見分け方
1. はじめに
病院や港湾、災害救援拠点などに設置されるヘリポート(ヘリパッド)。
一見すると「H」のマークだけが目立ちますが、
中には 「H」の横や下に「R」または「L」 が付いている場合があります。
実はこの「R」と「L」には、パイロットや運用者にとって非常に重要な意味があるのです。
本記事では、ヘリポートにおけるRとLの意味、運用上の違い、
安全面での理由などを詳しく解説します。
2. ヘリポートのRマーク=ホバリング専用
「R」が付いたヘリポートは、Hover only(ホバリングのみ) を意味します。
ここでは機体を着陸させることはできません。
代わりに、ホバリング状態で人員や資材を吊り上げ・吊り下ろしする運用が行われます。
ホバリング専用にする理由
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建物や施設の耐荷重が着陸重量に耐えられない
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屋上や桟橋などで着陸すると振動や風圧の影響が大きすぎる
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安全確保のため、接地を伴うオペレーションを避ける必要がある
例)災害時の物資輸送で、
建物屋上に直接降りられない場合はホバリング状態で吊り上げ作業を行う。
3. ヘリポートのLマーク=着陸可能
「L」が付いている場合は、Landing allowed(着陸可能) を意味します。
こちらは通常通り、スキッドや車輪を接地して離着陸できます。
着陸可能な場所の特徴
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十分な耐荷重があり、重量級ヘリコプターでも接地可能
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消防・救急・燃料補給の設備が整っている
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周辺に障害物が少なく、安全な離着陸経路を確保できる
例)救急病院の屋上ヘリポート、港湾の防災ヘリポート、山岳救助用ヘリポートなど。
4. RとLを分ける重要性
ヘリコプター運用では、安全と効率が最優先です。
RとLの区別によって、以下のようなメリットがあります。
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同時運用が可能
着陸機とホバリング機を同時に運用し、救援活動や物資輸送をスムーズに行える。 -
誤着陸の防止
パイロットが間違って耐荷重不足の場所に着陸してしまうリスクを回避できる。 -
災害時の柔軟性
緊急時にはRを物資輸送、Lを救急搬送に使い分けられる。
5. 実際の現場例
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病院屋上:救急患者はLヘリポートに着陸、
物資や機材はRヘリポートでホバリング搬入。
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港湾施設:大型ヘリはLに着陸、小型機や物資搬送はRでホバリング。
6. まとめ
ヘリポートの「R」と「L」は見た目こそ小さな違いですが、運用上の意味は大きく異なります。
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R=ホバリング専用(Hover only)
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L=着陸可能(Landing allowed)
今後、屋上や港湾などでヘリポートを見かけたら、
RかLかをチェックしてみると、その施設の運用意図や安全配慮が見えてきます。
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