ホノルル沖の下水処理問題|
観光地ハワイの海に何が流れているのか?
ハワイといえば、世界中から観光客が訪れる美しい海とビーチ。
ワイキキやアラモアナの透き通った海は、旅行者にとって憧れのスポットです。
しかしその沖合には、
長年にわたって下水処理問題が存在していたことをご存じでしょうか?
ホノルルの下水処理と「海への放流」
ホノルル市では、下水処理施設で浄化した排水を**
海底に設置された長いパイプ(Outfall Pipe)**を通じて、
沖合の深い海に放流しています。
この方式はアメリカ本土でも昔は行われていましたが、
環境規制が厳しくなるにつれて廃止され、
多くの都市は高度処理を行うようになっています。
ホノルルはその中でも遅れていて、
「下水を沖合に流している最後の大都市」として
全米環境保護庁(EPA)から改善命令を受けた歴史があります。
その後、ホノルル市は改善計画を立て、
数十億ドル規模の投資で下水処理施設の近代化(二次処理化)を進めており、
2020年代にかけて徐々に改善が進んでいます。
かつては「二次処理」と呼ばれる高度な処理が行われていなかったため、
十分に分解されていない下水が流されていると
環境団体やアメリカ環境保護庁(EPA)から問題視されてきました。
なぜ問題なのか?
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水質汚染の懸念
有機物や栄養塩が海に流入すると、赤潮や藻の異常繁殖を引き起こし、サンゴや魚に悪影響を与える可能性があります。
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観光へのイメージダウン
「ハワイの海に下水が流されている」というニュースは、
観光客にとって大きな不安材料となります。
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全米でも最後の都市
アメリカ本土の大都市はすでに高度処理へ移行済みで、ホノルルは改善が遅れていたため特に注目されました。
改善の取り組み
2000年代後半、EPA(環境保護庁)はホノルル市に対して改善命令を出しました。
これを受け、ホノルル市は数十億ドル規模のインフラ投資を決定。
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下水処理施設の近代化
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二次処理設備の導入
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放流水の安全性向上
といったプロジェクトが進められています。
2020年代以降は段階的に改善され、最終的には本土並みの基準に達する見込みです。
観光客への影響は?
実際にワイキキやアラモアナなどの海水浴場で
「下水の影響で泳げない」といったことは基本的にありません。
海流や放流位置の工夫によって、観光エリアの水質は安全に保たれているとされています。
しかし、環境団体は「本来の自然の豊かさを守るにはさらなる改善が必要」と
訴えており、観光客にとっても「知っておくべき背景」といえるでしょう。
まとめ
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ホノルルでは下水処理後の排水を沖合に放流してきた
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長年、十分な処理がされずに問題視されてきた
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改善計画が進められ、今後はより安全性が高まる見込み
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観光客が泳ぐ海は基本的に安全だが、環境問題としては注視すべきテーマ
美しいハワイの海を未来に残すためには、観光客も「楽しむだけ」でなく、こうした環境問題に目を向けることが大切です。
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